2022年01月26日更新
1 はじめに
平成31年第1回宇城市議会定例会の開会に当たり、平成最後となります施政方針について、簡潔に申し上げたいと思います。
熊本地震発災から2年10ヶ月が経過しました。市では市民の皆様の暮らしと生活の再建を最優先課題と位置づけ、社会基盤の整備や地域産業の再生、災害公営住宅の整備など、復興に向けて全力で取り組んで参りました。
また、「いざ、復興へ~市民生活を最優先するまちづくりを目指して~」をテーマに掲げ、平成29年3月に策定しました「第2次宇城市総合計画」に基づき、今後の本市が目指すべき将来都市像の実現に向けて、事業を展開しております。
来る平成31年度も、熊本地震からの復興を最優先に、市民生活の安定につながる事業を優先して実施するとともに、「ちょうどいい」が実感できるまちづくりに邁進してまいります。
2 日本経済と国政の動向
内閣府の経済報告によれば、景気は緩やかに回復しているとの基調判断がなされており、先行きについても、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くと期待されています。
このような情勢の中、政府は経済再生と財政健全化の双方を同時に実現していくとし、「経済財政運営と改革の基本方針2018」及び「未来投資戦略2018」を着実に実行していくとしています。さらに、全ての世代が安心でき、活躍できる「全世代型社会保障制度」を実現するため、労働制度をはじめ制度全般の改革を進めるとともに、10月に予定されている消費税率の引き上げを控え、経済財政運営に万全を期すとしています。
地方行財政については、ICTやAI等を活用した業務改革、情報システムのクラウド化などの地方行政サービス改革を推進するとともに、公共施設等の老朽化対策等の適正管理、財政状況の「見える化」、公営企業会計の適用拡大と経営改革など、財政マネジメントの強化を図ることとしています。
3 平成31年度市政運営の基本方針
熊本地震発災から約3年となり、復興は着実に進んでいるものの、市民が本格的な生活再建を果たし、完全なる復興と認識するに至るには、今まで同様に多くの時間と財源が必要であります。
本市は、これまで普通交付税縮減後の財政運営に備えるため、蓄えてきた財政調整基金を前倒しで取崩しており、来年度以降、安定した財政運営の下で復興を着実に推進するためには、真に必要な事業への選択と集中、効率的な予算の執行を不断の取組みとしていかなければなりません。
今後も、人口減少に伴う市税等の減少や普通交付税の段階的縮減に加え、社会保障関係経費などの義務的経費及び公共施設の老朽化に伴う改修、更新費用の増大等、歳入歳出の両面で厳しい状況が見込まれます。
このような財政状況下にあっても、様々な行財政課題や大型事業、復興事業への対応には手を抜くことなく、市民の要請に応えていくために、生活の基盤となる産業振興、教育、保健、医療、福祉などの分野に力を注いでまいります。
特に、人口減少と超少子高齢化が現実となる近い将来において、子育て施策や教育環境を充実させることにより、市内外の方々から、選ばれ、住み続けていただくまちを目指すべく、教育分野については重点的に取り組んでいく決意をいたしました。
平成31年度も、本市が目指す将来都市像「ちょうどいい!住みやすさを実感できる都市・宇城」の実現にむけた6つのまちづくり、「復興する」、「育てる」、「住み続ける」、「持続する」、「選ばれる」、「活躍する」まちづくり施策分野に取り組んで参ります。
4 平成31年度重点施策
「第2次宇城市総合計画」及び予算編成方針に基づき、平成31年度の重点施策の概要について申し上げます。
1 復興するまちづくり
地震発災後、約3年が経過し、市民の皆様の自立生活再建も更に本格化していきます。
行政としても、引き続き、仮設住宅入居者及びみなし仮設住宅入居者などの恒久的な住まいの確保や被災者の生活見守り活動の継続を行っていくとともに、災害に強い都市構造の構築、またそれを構成する拠点やネットワークの整備など、社会基盤の早期復興を順序良く着実に進めてまいります。
具体的には、
- 被災宅地復旧支援事業費として 2億円
- 災害公営住宅入居支援事業費として 5,300万円
- 防災拠点センター整備関連事業費として 18億6,800万円
- 公衆無線LAN環境整備費として 600万円
を今回の当初予算で計上しております。
2 育てるまちづくり
近年、子育てや教育を取り巻く環境は、生活の多様化や情報化などの進展により大きく変化しております。
将来の本市を支える人材育成のためには、確かな学力を向上させる取り組みと、社会の変化に対応した教育の推進が必要です。
子どもたちが幅広い知識と教養を身に付け、豊かな人間性と健やかな身体を創れるよう、安全かつ快適な教育環境の整備と子育て支援が充実したまちづくりを進めます。
具体的には、
- 保育所等整備事業補助費として 5億5,300万円
- 小中学校ICT教育環境整備費として 2億2,400万円
- 小中学校のパソコン更新費用として 8,500万円
- 学校給食センター建築事業費として 8億8,400万円
- 松橋中学校屋内運動場及び武道場改築事業費として 9億2,700万円
- 不知火小学校改築事業費として 8億9,200万円
を計上しております。
3 住み続けるまちづくり
すべての市民が、「ちょうどいい!住みやすさ」を実感できる行政サービスや生活環境の整備、そして災害対策の充実や防犯対策の向上を図ることで、将来にわたって安全で安心して住み続けられるまちづくりを引き続き進めます。
また、市民の健康管理のため取り組んでいる「さしより野菜」事業も継続して市を挙げて取り組むとともに、食品ロスを無くす取り組みである「30・10運動」についても引き続き推奨してまいります。
更に、風しん患者数が全国的に急増していることにより、国では風しんに関する追加対策を実施することとしていますが、具体的な制度内容については明らかになっておりません。
しかし、本市においては、早期の事業実施ができるよう、必要な経費について当初予算での予算計上を行い、速やかな対応を図っていきます。
具体的には、
- さしより野菜推進事業費として 600万円
- 成人男性風しん抗体検査及びワクチン接種業務委託費として 2,600万円
- 防災行政無線デジタル化整備費として 2億3,600万円
- 防災行政無線電話対応システム整備費として 500万円
- 防犯灯LED交換費として 3,100万円
を計上しております。
4 持続するまちづくり
本市が、熊本地震からの復旧・復興を目指す中でも、産業基盤や幹線道路網の整備など、都市基盤の強化は必要不可欠となります。
企業誘致を継続して推進していくとともに、地域の特性に応じた、農林業、水産業、商業などの基盤の保全、生活に必要な機能を中心部に集めるコンパクトシティの形成、また地域産業の発展につながり、都市の基盤となる幹線道路網の整備を図ることで、持続していくまちづくりを進めます。
具体的には、
- 長崎久具線改良事業費として 3億5,200万円
- 戸馳大橋架替事業費として 2億2,500万円
- 光通信網整備事業補助費として 3億2,200万円
- 農業次世代人材投資事業補助費として 8,900万円
- 県営湛水防除事業補助費として 1億7,300万円
- IT企業等誘致支援業務委託費として 700万円
を計上しております。
5 選ばれるまちづくり
将来にわたって豊かで安心できる生活のためには持続的発展が不可欠であるため、交流人口や移住・定住者の増加、「ちょうどいい!」と実感できる環境や基盤の整備を行ってまいります。
また、観光分野においては、来訪者の動向をしっかりと見極めながらターゲットを絞り込み、戦略的な観光推進を図ることで、地域経済への波及効果を高め、地域と行政が一体となって稼げる観光の地域づくりに取り組みます。
具体的には、
- 空き地空き家対策事業費として 1,600万円
- 新たな観光拠点づくり事業費として 3,600万円
- 地方バス運行等特別対策補助費として 1億100万円
- 多面的機能支払事業補助費として 2億800万円
を計上しております。
6 活躍するまちづくり
様々な交流の機会や住民が主役となるまちづくり活動やコミュニティビジネスなど、障がいのある人や定年を迎えた高齢者層、子育てが一段落した女性、若者、すべての市民がまちづくりの担い手として活躍できる環境整備を進めます。
また、健康で活力ある生活ができる地域社会を構築するためには、誰もが気軽にスポーツを楽しめる環境も必要です。スポーツ推進の中核となり得る総合型地域スポーツクラブの育成と併せて、学童スポーツクラブへの支援、協力体制の構築を進めてまいります。
具体的には、
- 地域コミュニティ活動支援事業費として 3,100万円
- 地方創生推進交付金事業費として 400万円
- 総合型地域スポーツクラブ補助費として 300万円
- 学童スポーツクラブ推進費として 200万円
- 熊本県民体育祭補助費として 1,800万円
- ふるさと納税事務一括代行業務委託費及び広告費として 1億9,900万円
を計上しております。
5 おわりに
未曾有の大災害であった熊本地震から約3年が経過し、復旧から復興へとシフトチェンジしているなか、平成31年度が合併算定替の最終年度となります。市民生活の再建が本格化してくる今後、合併特例債の期限については、多方面からのご尽力により、平成36年度までの延長の決定がなされましたが、人口減少・超少子高齢化などの問題を抱え、地方自治体の運営はますます厳しい局面を迎えます。
公共施設の統廃合、職員数の削減、事務事業の見直しや民間委託など、時に断腸の思いで実行し、その成果は、市財政状況の下降傾向からの脱却につながったと確信しております。今後も宇城市の輝く未来のため、行財政改革は引き続き進めてまいる所存であります。
以上、平成31年度の重点施策と予算の概要を申し上げました。市議会におかれましては、よろしくご審議をいただきますようお願い申し上げて、私の施政方針といたします。
平成31年2月18日
宇城市長 守田憲史