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第48回 カムィユカㇻ 2022年9月号

2024年03月19日更新

カムィユカㇻ

銀の滴(しずく)降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに  アイヌ神謡(しんよう)集から

カムィユカㇻは節をつけて語られる、神様(カムィ)が主人公の物語(ユカㇻ)のこと。文字文化のないアイヌの人々の間で伝承されてきました。そのユカㇻを始めて文章に表した知里幸恵(ちりゆきえ)、アイヌであり、クリスチャンだった彼女の生涯を描いた一人芝居を見ました。

西日本では初公演。舞台が設営された教会のステンドグラスからは斜光が差し込んでいます。「知里幸恵」を演じるのは舞台女優の舞香(まいか)さん。教室半分ほどの舞台を動き回りながら声を使い分け、幸恵と彼女が人生で出会った人々を演じます。

登別の村(コタン)で生まれ、旭川の小学校へ入学した幸恵。そこで何気なく交わされるシサム(アイヌ以外の日本人)の言葉、「そうそう私はあなたがアイヌだって気にしないよ」。その言葉に「アイヌでいることは恥ずかしいことなのか」。そして同胞に「あなたたちみたいに、ろくに勉強もしないで下を向いて歩いてなんかいるから、アイヌがばかにされる。わたしがアイヌじゃなかったら…。和人(わじん)を消すはずの恨(うら)み言(ごと)が、同じアイヌに向かっていたなんて」。舞香さん演じる幸恵の葛藤(かっとう)に息をのみます。

「数百もの壮大なユカㇻを記憶し、歌うことが出来るアイヌ。アイヌであることを誇りに」。そう話す

言語学者金田一京助との出会いから、幸恵は自分を育ててくれたユカㇻを守る道に進むことを決意します。

文字のない口伝えの文芸を記録に残した知里幸恵。幸恵がしなければならなかったのは、ユカラを日本語に訳して、その価値を広く知らしめ、美しいアイヌ文学を後世に伝えることでした。「アイヌ神謡集」の最後の校正を終えたその夜、心不全のため急逝(きゅうせい)。今から100年前のこと、19歳の生涯でした。舞台を通して、観客は知里幸恵と出会いました。

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