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第38回 みかんを食べさせてあげたこと -中編- 2021年(令和3年)11月号

2022年03月27日更新

第38回 みかんを食べさせてあげたこと -中編- 2021年(令和3年)11月号

前編 第37回 みかんを食べさせてあげたこと -前編- 2021年(令和3年)10月号から続く

 

哲ちゃんを給食に招いての子どもたちの初体験は、私が体験したことでもありました。
初めて担任した小学1年生に忘れられない子どもとの出会いがありました。その女の子には二分脊椎症(にぶんせきついしょう)という「障害」があり、まだ排せつのコントロールができませんでした。当時、学校に保健室はありましたが、養護教諭は未配置。お母さんが2時間ごとにおむつ交換に来られます。そんなお母さんに私は「お疲れさまです」と声を掛けるだけでした。

 

ある日、一人の保護者から指摘を受けます。「Aさんは夫婦で仕事されているのに、こんなに学校に来ていたら仕事にならんど。先生、学校で何とかならんとですか」そう言われるその方の顔を私はまともに見ることができませんでした。養護教諭がいないから、お母さんがすることだからと理由付けし、関わりを避けていた自分の心を見透かされた瞬間でした。私には他人事だったのです。


 
それから、お母さんに話し、彼女の了解をもらい、おむつ交換をバトンタッチしました。保健室に入っていくと仲の良い友だちも二人三人と付いて来て、その子たちが手伝います。そして私がいなくても自分たちでやってしまうようになりました。「かんたんで、とってもおもしろい」そう言ってニコニコしています。「うんこの時は先生に言わなんよ」と言っても私には教えず、後始末まできれいにやってしまいます。おしりを見るとピカピカに拭きあげているのです。そんな日々を重ね、彼女は「教室で着がえようっ!」と言って体育の更衣をみんなのいる教室でするようになりました。紙オムツをしている姿を隠さなくなったのでした。


 
友人に勧められるまま、書き留めたこの1年生の子どもたちの話を全国の人権教育の研究会で報告することになりました。私が話し始めると浪速のホールが静まり返りました。熊本に戻っても冷めやらぬ高揚感で私は満足していました。「障害」者の問題と向き合い、差別をなくす教育をしている、そう思っていました。

 

後編 第39回 みかんを食べさせてあげたこと -後編- 2021年(令和3年)12月号へ続く

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