2022年03月27日更新
第37回 みかんを食べさせてあげたこと -前編- 2021年(令和3年)10月号
「夕刊にコラムを掲載することになりました(笑)」。自称、足でハンドル操作のできる改造普通車に乗る全国初のドライバーこと哲ちゃんからメールが届きました。
【講演で小学校を訪れると、子どもたちはざわつきます。「変な人」「ヤバくない?」。発語にもマヒがある私が「こんにちは」とあいさつすると、びっくりした表情を見せ、笑顔で入っていくと後ずさりします。「僕を見てどう思う?」子どもたちは「手が曲がってる」「怖い」と大人なら言わない感想をぶつけてきます】(4月2日熊日)。これを読んで私は以前、哲ちゃんを呼んだときのことを思い出しました。
宇城の小学校、人権週間の講話です。集まった全校児童の前で、哲ちゃんが足で缶コーヒーを開けて飲み、バッグからケータイを取り出してかけてみせます。静まり返っていた体育館に歓声が湧きます。パフォーマンスをしながら、語るメッセージは「できないことは、恥ずかしいことではない」。話を聞くだけでなく、生活の匂いのする出会いの場を子どもたちにと、を給食へ誘いました。その時の子ども(小3)の日記です。
『みさき君がシチューをすくって、倉田さん(哲ちゃん)に食べさせていました。みさき君は顔が少し赤くなっていました。席についたら、先生とビビッとし線が合って、やばいなとし線を落としたけど、先生は、「あやのさん、倉田さんにミカンを食べさせてみんね」と言われました。やっぱりきたかと思いました。倉田さんの横にすわりました。手がふるえて皮が上手にむけません。一こ取ると、口へもっていきました。倉田さんは「あー」と口をあけました。だいじょうぶかな、落とさないかなと思っていたけど、食べさせている間にドキドキがなくなってきました。全部食べさせた後に、わたしはほっとして力がぬけてしまいました』
素直な感想を書いてくれたこの子は今は二人の子どものお母さんになっています。彼女のこの経験、実は私が出会ったことでもありました。 (後編 令和3年11月号 へ続く)
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