2024年03月19日更新
本の紹介「パパは女子高生だった」
「ボクのパパは女子高生だった。パパはこんなことも言っていた。『あんなぁ、男の人は、おちんちんがあっておっぱいがない人だけが、男の人じゃない。女の人も、おっぱいがあっておちんちんがない人だけが、女の人じゃないんだよ。見た目で決めつけたらダメなんだよ。』」
秋になると、5会場で開催される「人権フェスタinうきし」。その講師にどうでしょうかと紹介され、連絡を取りました。名前は前田良さん。兵庫県在住です。実は私は彼の本を持っていました。改めて手に取ると、帯には「『性別変更した夫を父親として認める』という画期的な決定を最高裁で手にした家族の物語」とあります。
「用意された服を着るのは嫌いだった。指示された席に座るのは辛かった。だけど、僕は自分の気持ちを言えなかった…。小学校でピカピカのランドセルを背負っても、中学校で部活に明け暮れても、辛く苦しい気持ちは付いて回った。」
それでも前田さんは”運命の人”と出会い、結婚し、人工授精で子どもに恵まれます。特例法(注)により、前田さんは「男」となること、結婚して「夫」となることは認められました。しかし、「父」になることは認められませんでした。長男の戸籍の父親欄に名前を書くことができなかったのです。幼い頃からの自らの性の苦悩を乗り越え、おかしいことにおかしいと声を上げ続けた前田さん。家族を守ろうと闘う真摯な姿が最高裁判決を勝ち取ります。2013年のことでした。
「一生かかっても『理解』はできないと思っている。でも知って受け入れることは誰でもできるはず」。見た目の性にとらわれずに、自分の本当の気持ちに沿った、いろんな生き方がある、いろんな性があるということを伝える前田さん。自分の人生と家族が愛おしくなる一冊です。
あ、それでフェスタ講師の返事はどうだったかというと、快く受けて頂きました。11月26日小川町ラポートの予定です。
(注) 「特例法」…性同一性障害者特例法
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