2023年07月05日更新
小田良古墳は三角町前畑、宇土半島の北側海岸に面した畑にあります。地元の方々からは「チンカンサン」と呼ばれています。
墳丘は失われていますが、円墳と推定され、5世紀に築造したとされる横穴式石室の装飾古墳です。
石室内部は、約2メートル幅の板状石材で囲われた空間が3つに仕切られ、両側を屍床(ししょう)(注1)、中央を通路としています。板石の内側には、円文・靭(ゆき)・盾(たて)の装飾が掘り込まれており、顔料が塗られていた痕跡もありました。石材には、砂岩と安山岩が使用されています。
昭和53年(1978年)の発掘調査では、多量の玉類、銅製鈴、異形銅製品、刀子(とうす)、人骨などが出土しました。保存を優先するため、すべてを発掘はせず、傷んだ石材に保存処理を行ったのちに埋め戻されました。
現在は覆屋の下に石室の外側のみを見学することができます。熊本県立装飾古墳館には、現地では見ることのできない石室内部の実物大レプリカが展示されています。
(注1)屍床(ししょう)・・・・・・古墳の石室や横穴墓の内部に設けられた遺体を安置する場所
現在の小田良古墳
発掘当時の石室内部の様子
板石の装飾(円文・靭)