2023年04月17日更新
宇賀岳古墳は松橋町松山に所在しており、標高約60メートルの丘陵の西端に立地しています。
宇土半島基部古墳群の一つで、通称「鬼の岩屋」と呼ばれている横穴式石室を有する装飾古墳です。
墳丘は流失して巨石が露出していましたが、発掘調査により直径約10メートルの円墳で、6世紀後半の古墳時代後期に作られた古墳と推定されました。現在は墳丘が復元されています。
宇賀岳古墳は九州では、珍しい石棺系石室(せっかんけいせきしつ)を呈する横穴式石室を持つ古墳です。奥壁、両側壁は大きな板石の単一石材を「コ」字形に配置し、屋根形を呈する大、小の天井石らしい2石の石材と他の石材が石室内に向かって落ち、南側に開口しています。石室の石材には、阿蘇溶結凝灰岩が使用されています。
奥壁には二個の刀掛け突起が造り出されていたようですが、現在は欠落していてその痕跡だけを残しています。
巨大な板状一枚石を組み合わせた石室内壁には線刻による円文、鋸歯文などの幾何学文様と赤・緑による彩色がなされている装飾古墳です。緑色の顔料が用いられた装飾は、県内では宇賀岳古墳のみです。
(左記写真:復原された墳丘)
(左記写真:刀掛け突起と彩色による装飾)