2023年07月05日更新
桂原古墳(1号墳)は不知火町長崎、宇土半島南側の丘陵中腹にある装飾古墳です。近くには、石室の一部のみが残る古墳(2号墳)があり、本来は古墳群であったと考えられます。
現在は直径約13メートル、高さ約4メートルの大きさですが、元は直径15メートル程の円墳であったと推定されます。
内部は横穴式石室で、ほぼ南に開口しています。石室の全長は約5.9メートルあり、羨道(せんどう)(注1)と玄室(げんしつ)(注2)にわかれています。
玄室には顔料による彩色と線刻による装飾があり、特に船の線刻文様が特徴的です。
帆が張られたり、何本もの櫂(かい)が突き出したり、船首が二股に分かれた構造だったり、様々な種類の船が何隻も描かれています。
これらの中には、一部に後世の落書きである疑いがあるものもありますが、その多くは古墳時代後期の6世紀末から7世紀初頭に描かれたものと考えられています。
1号墳から東側100メートルにある2号墳にも船の線刻が残っています。
(注1)羨道(せんどう)・・・・・・横穴式石室の構造の一部で通路にあたる部分
(注2)玄室(げんしつ)・・・・‥羨道を通った先にある、遺体を安置するための部屋
現在の桂原古墳
玄室内部の様子
(谷口大典 氏提供)
線刻による船の装飾