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第23回 共に学び共に育つ(前編) 2020年(令和2年)8月号

2022年03月27日更新

第23回 共に学び共に育つ(前編) 2020年(令和2年)8月号

  学校にはさまざまな子どもがいます。快適な学校生活を送るために何らかの援助が必要な子どももいます。これは私が出会った「医療的ケア」が必要な子どものお話です。


 身体測定の後、保健室のK先生が「本田先生、ふみちゃんの体重が減っています」と教えてくれました。前回に比べ3キログラムの減少。小学2年生には大き過ぎる数値です。何か原因がありそうだなと思い、お母さんに伝えました。診察の日、「熊本市の病院を紹介され、入院することになりました」という連絡が学校に入りました。いつもの落ち着いたお母さんの声ではありません。夕方、私は病院を訪ねました。ふみさんは硬い表情で一人ベッドに座っていました。帰り際、私は「日記をつけなさい。きっと後で役に立つから」とふみさんに日記帳を渡しました。


 『…(病院の)先生がびょうきのせつめいをしてくれました。「いますぐ、ちりょうをしたほうがいいから、大きなびょういんにいきましょうか。これからたいへんだと思うけど、がんばってね」といっておくりだしてくれました』( 日記から)。


 2週間の入院が終わり、ふみさんは教室に戻ってきました。「きのうね、ふみちゃんね…」保健室でインスリン注射の準備をしながら、楽しそうにおしゃべりをしていた彼女の口が止まります。深呼吸を1回、つまんだお腹に注射針を刺す。しばしの静寂。「1、2、3、4…」10まで数え、ゆっくりと針を抜く。K先生と私は持ち上げていたセーターから手を放しました。退院して、針を怖がらず、手際よくやるふみさん。その姿を褒めはしたけれど、沈黙の時間に見せる彼女の真剣な表情に、入院していた間にこの子は自分なりにきっと必死に身を守るすべを学んだのだろうと思いました。


 プライバシーは守りながらも彼女が一緒に居てほしいと思える友だちづくりを応援するのも教師の仕事です。子どもは子どもの中が好き。だからいつも身近にいる友だちの応援が生活意欲を高めてくれます。私は周りの子どもたちが絡んでくるのを待ちました。

(次号後編第24回 共に学び共に育つ(後編) 2020年(令和2年)9月号へ続く) 

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