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第28回 平和のバトン 2021年(令和3年)1月号

2022年03月27日更新

第28回 平和のバトン 2021年(令和3年)1月号

 1月22日、核兵器禁止条約が発効されます。これは核兵器の開発などを禁じ、核兵器自体を違法とする初の国際条約です。残念ながら唯一の戦争被爆国である日本はいまだに批准していませんが、国内では日本の参加を求める意見書が495の地方議会で採択され(10月現在)、県内でも上天草市議会など6つの議会で採択されています。


 『はだしのゲン』という漫画をご存知ですか。1973年に少年誌に連載開始。英訳版など世界中で刊行、教育現場でも平和教材としてロングセラーを続けています。作者は故・中沢啓治さん。
 8年前、私は教職員組合で中沢さんをお招きして講演会を開催しました。体験した者だけが伝え得る臨場感に会場は静まり返ります。広島国民学校1年生の時、登校中に被爆。校門前で同級生の母親に呼び止められ、立ち止まったのが生死を分けます。そのお母さんは即死、中沢さんは石塀の下敷きとなり、直撃を免れます。

 22歳で漫画家を目指して上京。「原爆をテーマに漫画を描こうなどとは思ってもみませんでした。新聞に『原爆』という字が出ていると見たくもなくなる。俺は嫌というほど五体で知っている、と逃げまくっていたのです」。


 転機は放射能に侵され骨さえ残らなかったお母さんの死から。「自分にできることは漫画しかない。だから、漫画の中で訴えよう」と『はだしのゲン』が生まれます。原爆で家族を失くしたゲンが境遇に負けず、立ち上がっていく姿は感動と勇気を与えます。原爆孤児となった少女のケロイドの手をなめ心を開かせていくシーンや、両手を無くした画家に再び絵筆を持たせていくシーンは胸を打ちます。
 講演の後、昼食をご一緒すると、「視力が低下し、ペンが持てなくなった。まだまだ描きたいことはたくさんあるのに残念です」と言われました。


 「ゲンは私の分身。被爆体験の継承に役立てば、これほどうれしいことはない」と語った中沢さん。核廃絶への多くの人の願いが、核兵器禁止条約というバトンに込められています。

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