JICA海外協力隊青海小学校で出前授業開催
7月5日、青海小学校の5年生と6年生(計27人)を対象に、キャリア教育の一環として、JICA海外協力隊グローカルプログラム実習生の松尾枝梨乃(まつおえりの)さんと宮脇亜美(みやわきあみ)さんの2人が出前授業を開催しました。今回の出前授業は、実習生2人から市に申し出があり実現しました。現在まで、市では2人を含め計5人の実習生を受け入れていますが、出前授業の開催は今回が初めてです。
実習生の2人は、海外への派遣前に国内の地域活性化や地方創生を体験するグローカルプログラムとして、三角町戸馳島の有限会社宮川洋蘭と株式会社イノPを拠点に活動しています。このプログラムが終了した後は、国内で3か月間語学訓練を行ったのち、松尾さんはルワンダへ、宮脇さんはカメルーンへ派遣される予定です。
授業は、「知らない世界を知ってみよう」をテーマに、前半は「仕事」について、実習生2人がJICA海外協力隊になる前までどんな仕事をしていたか、なぜその職業に就いたかをそれぞれ話しました。
授業の冒頭、JICA海外協力隊についての説明がありました。協力隊とは、「現地の人と一緒に生活して活動するボランティア」のことで、現在190種類以上の職種があり、2023年時点では64か国で822人の隊員が活躍しています。
授業の冒頭の様子。左側が松尾さん、右側が宮脇さん
松尾さんは、小学校の時の夢が最初は獣医でしたが、国境なき医師団の活動を知って、医者を志すようになりました。その後、高校生の時にケニアに2週間ボランティアに行き、水が自由に使えない現状を知り、「水問題を解決したい」と思うようになりました。そして、大学と大学院で水の調査について学び、地質や地下水の調査などを行う建設コンサルタント会社に就職しました。ただ、ずっとアフリカに行きたいという気持ちがあり、今回JICA海外協力隊に応募し、コミュニティ開発として、給水施設(井戸・公共水栓)の機能向上や水・衛生に関する啓発活動をするためルワンダに派遣されることになりました。
松尾さんの授業の様子
宮脇さんは、幼稚園の時に1日だけ入院をしたことをきっかけに看護師という仕事を知りました。小学校の時にナイチンゲールの本を読み感銘を受け看護師を志すようになりました。中学校の時には2週間アメリカにホームステイをし、看護師以外の色々な仕事に興味を持つようになりました。しかし、高校生の時に改めて将来のことを考えた時に、「人の役に立つ仕事がしたい」と看護師になることを決意しました。大学で国家資格を取る勉強をし、卒業後は救急救命センターに就職しました。日本では、救急車が無料で使用でき、誰でも医療を受けることができますが、世界には当たり前に医療を受けることができない国があります。そのような国で活動したいと、今回JICA海外協力隊に応募しました。派遣先のカメルーンでは、エイズ・感染症対策の活動として、母子の健康管理や栄養指導、啓発活動を行う予定です。
看護師の仕事を実演している様子
後半は、「海外」のことについて、松尾さんが大学時代に滞在したマラウイと宮脇さんの派遣先であるカメルーンの話になりました。ここでは、グループでの活動やクイズを織り交ぜた授業で、アフリカのイメージをみんなで出し合い、実際との比較をしました。子どもたちからは、「動物がいる」とか「暑い」などのイメージが出てきました。松尾さんがマラウイの様子を写真や動画を交えながら説明すると、子どもたちは興味津々で見入ってました。
説明の中での、日本とマラウイの違いクイズは、大盛り上がりでした。マラウイの農村地域のお風呂は、桶のようなものが置いてあるだけなど、日本との違いに子どもたちはとても驚いていました。
後半の授業の様子
最後のまとめとして、2人から子どもたちに「やりたいことは変わることもある!何でも挑戦してみよう。」とのメッセージが送られました。
その後、子どもたちから質問を受ける時間があり、「夢を実現するためのアドバイスはありますか?」の質問に、宮脇さんからは「自分がやりたいことを口に出すこと。口に出すことで応援してくれる人が出てくる。」、松尾さんからは「まずは調べてみる。友達と話して共有する。」というアドバイスがありました。逆に、宮脇さんから子どもたちに「私たちが海外に行っても、またオンラインで会ってくれますか?」という質問に、元気よく「はーい!」と返事をしてくれました。次は、3か国を繋いでの再会になりそうです。
まとめの様子
子どもたちは、終始2人の話に聞き入り、とても有意義な時間を過ごすことができました。最後に、6年生の工藤安哩(くどうあり)さんから子どもたちを代表して、2人に御礼の言葉と「みんなの役に立つ仕事がしたい。」との感想が述べられました。