松橋町の中心部の北方標高約60メートルの宇賀岳山頂の西端に所在する阿蘇溶結凝灰岩の切石を組み合わせた横穴式石室の装飾古墳が宇賀岳古墳です。
石室は、南を玄関に、3枚の巨石を組み合わせたもので、奥壁にあたる北壁の上部に2個の刀掛突起がついています。現在は欠落してその痕跡を残しています。
また、奥壁に線刻による装飾が施され、全面に赤く丹彩の跡があります。
奥壁には高さの中央付近に約10センチメートル間隔で平行する横に二直線が線刻されこの線に内接するように円文が等間隔に数個並列に線刻されさらに各円からは続三角文が3段に見られます。
東西の側壁にも奥壁と同様の装飾があったと思われますが、長い年月の風化により傷みが激しく、奥壁のように明らかではありません。
石室の構造は、石棺系石室とでも呼ぶべき形態で、大小2枚の蓋石が二重になっています。小さいほうの蓋石は、置く壁に接して側壁の上部に置かれ、大きいほうのそれは、巨石から2、3段持ち送った石の上にのる天井石です。
古墳の形および大きさについては、周囲が慰霊塔建設の際地下げされたためはっきりしないので、動かされていない石室の位置から想定して復元されています。
そのため、墳形は円墳とし、墳高も推定高より1.5メートル程度(地下げ分)大きくなっています。
なお、この保存施設並びに復元工事は、熊本県の補助をうけ、昭和55年・56年度の2ヵ年継続事業として行ったものです。
桜の季節になると、花見客で賑わうようです。
詳細
所在地
宇城市松橋町松山
(岡岳総合グラウンド)
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