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2021年5月26日

第34回 教科書から『士農工商』が消えた ー前編ー 2021年(令和3年)7月号

 「『士農工商』は身分を表すものではなく、職業名です。もともとは古代中国の四字熟語で、「全ての職業」「民衆一般」という意味です。日本に入ってきたのはまだ武士のいない奈良時代ですから、「士」は「武士」を意味してはいませんでした。中国での使われ方と同じで、「士」は知識人や役人を指していました。現在でも弁護士、博士、栄養士など、「士」のつく職業がたくさんあります」。

 

この説明を聞いたとき、私は驚きました。なぜなら私も当時の教科書に沿い、「部落は江戸時代につくられた。江戸幕府は、人々を支配するために身分制度をつくった。それが『士農工商』で、その下に、さらに一段と低い身分を置いた。その目的は人々の不平や不満をそらすためであった。それが部落の起こり」とずっと授業をしてきたからです。

 

小・中学校の教科書に部落問題が初めて載ったのは1972年。それから長い間、小・中・高校の社会科の教科書の全てが、江戸時代の身分制度を『士農工商』のピラミッド型で記述していました。しかしそれは大きな間違いでした。江戸時代には『士農工商』という身分制度はなかったのです。

 

では今、子どもたちはどのように学んでいるのでしょうか。市内の小学校で使用されている教科書には、こう記述されています。
「江戸時代の社会は、支配者である武士をはじめ、百姓や町人など、さまざまな身分の人々によって構成されていました」
「また、百姓や町人とは別に厳しく差別されてきた身分の人もいました。これらの人々は、差別の中でも、農業や手工業を営み、芸能で人々を楽しませ、また治安などをになって、社会を支えました」
(東京書籍「新しい社会6」)

 

でもどうして『士農工商』が江戸時代の身分制度だと考えられたのでしょうか。それは明治初めの身分制度の変革を誤って「四民平等」ととらえてきたことが大きかったのです。

(後編第35回 教科書から『士農工商』が消えた ー後編ー 令和3年広報うき「ウキカラ」8月号(サイト内リンク)に続く)

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